自然編

光へ

僕達は歩いていた。
暗闇の中を。
僕と彼女だけがうすぼんやりと見えていた。

どこを歩いているのかも分からず、
どこに向かっているのかも分からず、
ただただ僕達は歩いていた。

彼女はつぶやいた。
(‘光よ’と)
目の前が呆と光り始めた。

僕達は何も言わないで、光に向かって歩いていた。
いくら歩いてもとどかない。
とどかないと思うた時、
僕達は、光の中を歩いていた事に
気づいた。

僕達は歩いている。
僕達は歩いてゆく。