Hanashi

ハジマリ

  今年もあと1ヶ月でおわる
少女はそんな事を考えながら歩いていた。
少女の名は葉山 羽瑠・ハヤマ ハル。年は16歳。この少女がこの話の主人公なのである。
羽瑠は少し頭が良かったし、家もそれほど苦しくは無かったので今年、有名な進学校へ行ったのであった。
しかし、そこは思っていたような学校では無かったし、来る日も来る日もテストばかり。
あと3週間ほどで期末なので羽瑠はため息をつきながら道を歩いていた。
“はぁ〜ぁ。疲れた。本当に今日も疲れた。高校になればもっと良いこととかあると思ったんだけどなぁ。
親にも入って一年で「この学校は疲れるのでやめたいです!」なんて言えないしなぁ〜。はぁ〜”
という具合でした。
このところ羽瑠は“自殺”という言葉がチラチラ浮かんだりもしていました。
と、羽瑠は電車のホームに着きました。

プシュ〜
電車が入ってきたので羽瑠はベンチから立ち上がり、ヨッコラセと中へ入りました。
自分の駅へは3駅で着くのでいつもドアの横にもたれます。だから、今日もその例にもれずもたれました。

ガタゴトガタゴト
電車が走り出したのを見計らい、目を閉じる。そこは暗闇で、音だけが外との繋がり。とても気持ちが落ち着くのである。と、

プシュ〜
ドアが開いたらしい。
“もう、次の駅についたのかなぁ?いつもより早いような…”
入ってきたのは、そこらへんに普通にいるカップルのようだ。車内は少しうるさくなったが、誰も気にする人はいないらしい。

ガタゴトガタゴト
電車は走り続ける。
“そういえば、明日のテストってなんだったけ?あぁ、英語だったっけ?えーっと、p89〜86だったけ…”

ふと、そこまで考えていて、この電車が少し異常なことに気付いた。
『この電車先から10分以上駅に止まってない!』
“そうだ!もしかしたら違う方面の電車に乗ってるのかもしれない。こういう時は…”
『車掌さん』という言葉に行き着いた。
“車掌さんは普通最後尾にいるはず!”
ということで後ろに向かい始めた、羽瑠だった。