あの娘の名前はprincess

昨日と今日と明日2

「ミル――!」森の中に大声が響いた。が、呼ばれた当人はサクサクと歩いく。
呼んだ本人シホンは走り、そして無視して歩いているミルフィーユに追いた。と、ミルフィーユはクスクスと笑い始めた。
「ミルー。聞こえてたんだろ?」ミルフィーユはまたクスクスっと笑い、いきなりクルっと回りシホンと向き合い、手を腰に当てて
「それが私へのあいさつ?」
「あ、ご、ごめん…。お、おはよう。」“フフン”とミルフィーユは鼻を鳴らすと
「おはよう。」といい、またサクサクと歩きだした。慌てて後を追いかけるシホンがいた。

毎日毎日同じ光景が森の中に繰り広げられていた。森の中は。二人を祝福するかのようにいつも木漏れ日がチラチラと降ってくる。赤毛の子がミルフィーユ一家の家に来てから7年が経ち、ミルフィーユは12歳、赤毛の子シホンは13歳になっていたのだった。

「おい、ミル、どこへ行くんだよ」
「いつものとこに決まってるでしょ」サクサク。
「えー…大きな切り株?古いきつねの巣?それとも
「あー、もう、うるさいねー。切り株の方よ。道というかあたりみて分かんないの?」
「森の中はほとんどおんなじように見えて…。そーゆーミルはなんで道おぼえてんだ?」
「…んー、覚えてるってか、なんとなくこっちにあの切り株があるって思いながら歩くとそこに到着するみたいな?」
「ふーん。すげーなー。」
「うん、なんていうか…。木が?草が?土が?…自然が囁いて教えてくれるの。」
「……。あ、切り株に着いたぜ。」
燃えるような、かつ美しい長い髪を風にそよがせながら切り株に走り行くシホンの後ろ姿を見ながらミルフィーユはため息をついた。
“私の髪の毛ってすごく癖っ毛なんだよね…。いつもシホンはやわらかい卵色の髪がきれいだって言ってくれるけど…正直羨ましいんだよねぇ”と、
「おーい、ミルー。何、つったってんだよー」
「あ、ごめーん」
二人で切り株に座る。青い空はいつもきれいだった。はぁ〜とため息をつくと、
「ん?どうしたんだよ?」
「青い空がきれいだなぁ、って」
「そーだな。」
二人はしばし黙って空を見上げていると突然、
「ミル」
「待って、今日こそは私に言わして?」
と、いきなりシホンの赤毛とおそろいの美しい紅色の目が迫り…唇と唇が重なりあった。そして、離すと
「いやだ、これをいうのは俺の特権だ、、、好きだよ、ミル。ううん、愛してる。」
「……はぁ〜」
と、いきなりシホンが
「た、ため息?ご、ごめん、愛してるって言葉がまずかった?そ、それともいきなりのキス?それとも俺の事がもう好きじゃない?お、俺なんか昨日した?え〜と...」
考え込むシホンを見てミルフィーユはクスリと笑うとそっとキスをした。
「シホンのこと嫌いになるなんてこと無いに決まってるでしょ。今のため息は…好きな人にこんなに愛してもらってるなんて贅沢だなぁって」
「贅沢なもんか。好きな奴に好きって言ってもらってキスまでしてくれるんだ。いきなり抱きしめてもおこらないし。」
抱きしめられながら
「あーもーそんなことゆーな」
「可愛いよ、ミル。」
“む゛〜”と、ミルは顔を赤らめながらうなりった。

「ねぇ…シホンの夢って何?」夕方まで森を散歩をしていた二人はもう一度切り株に戻って来た。
「ミル姫の騎士」
夕方まで森を散歩をしていた二人はもう一度切り株に戻って来たのだった。
「もぉ…私はお姫様っていう格じゃないわよう!」
「お姫様、どうぞこのティアラを」
と言ってさっき二人で作った花の冠をミルフィーユは頭にかけられた。
「そーゆーミルの夢は?」
「町の豪華な教会システィナ教会みたいな―でシホンと結婚して森の中の静かな家でね暮らすの。子供はねぇ男の子と女の子なんだぁ」
「……二人できっと未来を作ろうな、ミル」
「うん!」

二人の顔は夕日に染められて真っ赤だった。