あの娘の名前はprincess

はじまり3―出会い

あの不思議な夢(?)から何日も過ぎ、荷物も最初の時より随分軽くなってきていた。
ミルフィーユは今日もテクテクと歩きながら、物思いにふけっていた。
“は〜あ。あれから何日が過ぎたんだろ。おフロ、入りたいなぁ…”と、その時だった。突然声が降ってきた。
「お〜い。そこのお嬢ちゃん。」
「は、はい!私の事ですか?」やば!いきなりだから、つい、返事しちゃった。
が、そんな心配事はいらず、その善良そうな声は言った。
「あったりまえだろ?こんな深〜くの森の中にそう何人も女性はいないだろ?」
「あ、そうですね。」和やかな会話が続く。
「ところで、ここらへんで人を見なかったかい?あ、申し遅れたオレはラック、ラック・セントさ」
「あ、私ミルフィーユ」
「お嬢ちゃん、あ、いやミルフィーユちゃんはこれからカルレットの方へ行くのかな?」
「あ、はい。城下町まで行くんです。」
「へぇ。一人で大丈夫?というか、できれば一緒に行かない?どうせ、方向いっしょだしさ?」
と、ラックはビックリした。ミルフィーユがいきなり手をつかんできたからだった。しかも、ガシッと。
「あ、ありがとうございます、ラックさん。実は心細かったんです。それに・・・」
「あぁ、話は後できこうよ。時間はたっぷりあるからさ。」結構きまったウインクをしながらいった。
「あ、あとさぁ、手、放してくれる?いや、オレ的には、うれしいんだけどさ?」
「あ、あああああ〜す、すいません〜」
「ははは、じゃあ、オレ、もう一人探してくるから、ここで待っといてね。」といって、ラックは川の方へかけていった。
ミルフィーユは道の脇にあった岩にこしかけた。最近ミルフィーユは、もし、シホンがいたらなぁ・・・という事ばかり考えていた。もし居てくれたら、一も二も無くついてきたんだろうなぁ。旅立った日から、考えないよう考えないようしてたけど・・・もう限界。シホンがいなくなったなんて。なんで、どうして、なんでなんでナンデ・・・ 涙ぐんでいると上から突然声が降ってきた。
「あの、お嬢さん。ここらへんで人を見なかったかい?」
なんかさっきも同じような事を聞かれたな…と思いながら、目をゴシゴシして上を向くと・・・・・・ラックさんがいた。
「ら、ラックさん?あ、あの、ミルフィーユですよ?会ってまだ10分も経ってないのに、もう私の事忘れちゃったんですか?」
それとも、重度な気憶障害なのかしら?とブツブツつぶやくミルフィーユを見て、その人はクスリと笑った。
「あぁ、僕は・・・」
そのとき大きな声が響いた。
「キィ〜〜〜」
すると、目の前の人は
「ごめん。ラック〜〜」
と叫び返していた。
「あはは、自分で正体言う前に言われてしまったよ。」
「ハァハァ。どこ行ってたんだよキィ。探したぜ。」
「え?え?ラックさんが…二人?」
「俺達、」「双子なんです。」
「オレがさっきも言ったけどラックで」「僕がキィです。初めまして!」
「はぁ・・・あ、私はミルフィーユはです。」
「ところで、ラック。この娘は?」
「旅は道ずれ。今日から仲間のミルフィーユちゃんさ。」