Hanashi
ユキちゃんとマークンとアフェアーと「ユキちゃん」
「なぁに、マークン。」
ここは、行き着けの喫茶店『アフェアー』。今日は、12月19日。
なんで『アフェアー』が、行き着けになったかって、それは仕事が忙しいマークンに少しでも沢山会うために会社の近くで待ち合わせをするため。
かれこれ私達は付き合って3年。もうすぐ、4年。
「25の事、決まった?空きそう?」紅茶の入ったカップからたつ湯気の向こうにマークンがいる。
「うーん。」
「いつものクリスマスディナーが美味しいあの店・・・えーと・・・『ミルメ』予約しとく?」
「あのさ、悪いんだけどさ?」
「あ、会社やった?」
「別れようか。」
「へ?」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
だって、今日はクリスマス前だよ?今年は寒いからホワイトクリスマスになるかもって、今朝お天気おねぇさんが言ってたよ?
あと6日で4年目だよ?
何で?何で?なんて?
「・・・・・・。」
「聞こえてる?ユキちゃん。」
「・・・う、ん。」
当たり前じゃん。何で、そんなこと聞くかなぁ。
思ったより、低い声が出た。まるで、悲しくて、苦しくて歯を食いしばって心が決壊するのを防いでいるような。
ふと、思い出したように、目から涙が落ちて手の甲に少し落ちた。
「・・・・・・ごめん。」
当たり前じゃん。何で、そんなこというかなぁ。
「な・・んで?重かった?」
「いや・・・。いわゆる、浮気。」
あぁ、ピンってきちゃった。
「事務課のエリさんでしょ?」
「え、何で・・・」
「前に、チラッとエリさんの話してくれたでしょ。そん時からなんかひっかかってたんだよね。いわゆる、女のカン。
じゃあね。」
「じゃあねって、もう行くのかよ。」
「ふふ、私の事を一番に考えてくれない人に興味ないもんでね。さようなら、、。最後ぐらいはおごってよね。」
そういって、去っていく女はマフラーを忘れて寒空の下に出て行った。
「・・・当たり前じゃん。てか、いつもここではおごってんじゃん。」
あーもう、寒いなぁ。最後はかっこよく決めようとしたのに、マフラー忘れちゃったし。最悪。
あーあ、マークンのことは、結構好きな方だったのになぁ。
あーくそー。こんなイイ女の私を差し置いて他の女にいくとは!!
どんだけ可愛いんだ?エリってやつは!やっぱ年か!!
その時遠くのほうに明かりが見えた。