Hanashi

死にたい?

「ふわぁぁ〜」あー眠った眠った。
と、横を見ると車掌さんが寝ていた。私に頭をもたせかけて。
「うあおっ!」
近い!近い!顔、近い!!
さすが自称悪魔or堕天使なだけあって、超美形。それに、常に浮かべている憂いを帯びた微笑みは、どんな女性の眼も一瞬奪うだろう。
だから、ドキドキする。
ただ、それだけ。
全然、起きない車掌さんは置いておく事にして、さっきまで考えてた事の続きを考えることにする。
私は生きたいのか?
『なんて、外的要因ばっかりなんだろう、貴女の生きる意味は。』
さっきの、車掌さんの言葉が甦った。
確かに、そう。
『死ぬ』…
じゃぁ、私は死にたいの?
事故る前(おそらく)は、私は何て思っていただろうか?
確か、、疲れていた。
テストにウンザリして、学校の予想とは裏腹の現場にウンザリして、過保護な親にも…
とりあえず、毎日に疲れてたんだ。
ここを、生きて出ても、その毎日に追われる生活に戻るだけ。
じゃあ、いっちょ死んでみる?
自問自答。その答えは決まりきっていた。
『君の名前はーー』
途切れる声、消える手。
私は、死が怖くなった。あの泥水が詰まったような穴に入りたくない。
でも、あんな風に、静かに、痛みもなく落ちてゆくだけなら、なんて理想的な死なんだろう。
逆に憧れる。
駄目だ。駄目駄目駄目!
死に憧れたら。
「車掌さん、。」
「はい…。」
まさか返事があるとは。
「んん〜。あれ、あれあれあれ?」
「どうしたんですか?」
「私、寝てました?」
「はい。?」
「貴女にもたれかけて?」
「はい。」
そして、それを聞くと、ものすごく申し訳なさそうな顔になった。
「すいません、車掌のくせに…。でも、おかしいなぁ。」
「何がですか?」
「私、寝たことがないんですよ。」
「えぇ!」
「はぁ、これが、『寝る』かぁ。もう少し感じていたかったなぁ?」
「あ、ごめんなさい!私が起こしたばっかりに。」
「何言ってるんですか。貴女がいたから眠れたんですよ。それよりも、私と、暮らしませんか?」

はぁ?!