金魚と夢の後で
3
「ハル〜。」
「何?」
「ハルの餌、ハルの家に置き忘れたかもしれないから、ハルのトコいっていい?」
「あぁ。」
「やったー!」
「何がだよ?」
「まぁまぁ。」
そんな会話をしながら窓からサキが入ってきた。
「あ!あったあった。」
「よかった、じゃあ、早く帰りなよ。」
「何よー、つれないなぁ・・・。明日、私の16の誕生日なのにぃ。」
「・・・明日だろ。」
「そりゃそうだけどぉ。」
と、その時
「サキちゃん、ハルの部屋にいるの?」
「はい!こんにちは、お母さん。」
「こんにちは、おサルさんみたいね。窓から窓なんて。」
「えへへ。」
「あのね、サキちゃん。」
「はい?」
「ハルといつも一緒にいててくれてありがとね」
「はぁ。」
と、ハルのお母さんはそう言うと階段を下りて行った。
「なんか、別れのあいさつみたいだったね、変なの〜」
「・・・そうだな。」
「じゃ、帰るね?」
「あぁ。」
ハル(私の金魚の方の)。ハル(人間の方)からもらった、縁日の日から、10年。
金魚の寿命ってどのぐらいなんだろう?
「サキ〜、サキ、ちょっと大事な話があるの。下りてらっしゃい!」
「あ〜今行く。」