金魚と夢の後で



「ハル〜。」
「何?」
「ハルの餌、ハルの家に置き忘れたかもしれないから、ハルのトコいっていい?」
「あぁ。」
「やったー!」
「何がだよ?」
「まぁまぁ。」
そんな会話をしながら窓からサキが入ってきた。
「あ!あったあった。」
「よかった、じゃあ、早く帰りなよ。」
「何よー、つれないなぁ・・・。明日、私の16の誕生日なのにぃ。」
「・・・明日だろ。」
「そりゃそうだけどぉ。」
と、その時
「サキちゃん、ハルの部屋にいるの?」
「はい!こんにちは、お母さん。」
「こんにちは、おサルさんみたいね。窓から窓なんて。」
「えへへ。」
「あのね、サキちゃん。」
「はい?」
「ハルといつも一緒にいててくれてありがとね」
「はぁ。」
と、ハルのお母さんはそう言うと階段を下りて行った。
「なんか、別れのあいさつみたいだったね、変なの〜」
「・・・そうだな。」
「じゃ、帰るね?」
「あぁ。」

 ハル(私の金魚の方の)。ハル(人間の方)からもらった、縁日の日から、10年。
  金魚の寿命ってどのぐらいなんだろう?

「サキ〜、サキ、ちょっと大事な話があるの。下りてらっしゃい!」
「あ〜今行く。」